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【2023年7月26日】藤原辰史さんとのトークイベント「「学問はスラムにあり ─ 空腹や呼吸、発汗から考える ─」(@恵文社)を開催しました

 敬愛する歴史学者の藤原辰史さんと、京都で対談をさせていただきました。拙著『タイミングの社会学』をめぐる内容で、藤原さんからいろんな論点を出していただき、著者として幸せな時間でした。『タイミングの社会学』では、藤原さんの著作からたくさんの引用をおこないましたが、何か議論を立ち上げようとすると、すでにその論点については藤原さんが考察を提示していた・・・ということが、たくさんあった執筆経験でした。

 イベント終了後には、藤原さん、編集者の村上瑠梨子さんをはじめ、京都の学生や院生の方々と打ち上げをおこなって、良い思い出になりました。

 本企画の情報についてはこちら(元情報はhttps://note.com/keibunshabooks/n/nc4870a7dcb85)

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この度、石岡丈昇さんによる『タイミングの社会学――ディテールを書くエスノグラフィー』(青土社)を刊行いたしました。本書の刊行を記念して、農業史や食の思想史を研究されてきた藤原辰史さんとトークイベントを行います。

『タイミングの社会学』は、フィリピン・マニラの貧困地区を舞台とするエスノグラフィーです。本書には、減量に励むも相手の都合で試合が延期、そして白紙になるボクサー、政府からの自宅の強制撤去通達を受け取るも、いつ本当に撤去が行われるのかわからないまま暮らす市民、雨の日の通勤のための乗り合いバスに、濡れた髪と落ちた化粧のまま乗り込む女性の姿などが描かれます。

かれらは、住まうため、働くため、食うために、いつまで待てばいいのかわからないタイミングを待ち、疲弊し、それでも絶えざる今を生きのびていきます。こうした細部との出会いとその描き方について、スラムから問う知のあり方を中心に語りつくします。

また本書は、生身の人間が空腹に耐えかねること、酸欠にならないよう呼吸すること、汗水を流して働くこと、といった生理学のレベルからエスノグラフィーを書くことにも挑戦しています。貧困や暴力、差別といった人間社会の問題を考えると同時に、生きものとしての人間のあり方も問うことを通して、歴史学や社会学の知をどのようにとらえ直すことができるのでしょうか。

フィールドも学問も時空を超えて縦横無尽に越境する、知の冒険となる一夜です。どうぞお楽しみに!
主催:青土社からのメッセージ

日時:2023年7月26日(水) 19:00〜20:30頃まで(開場18:30)
場所:恵文社一乗寺店 イベントスペースコテージ